2022年「働きがいのある会社」初認定に至るまでに人事担当が考え、行ったこと
ランスタッドジャパンは、11月1日にGreat Place to Work® Institute Japanより、「働きがいのある会社」に認定されました。認定審査エントリーのプロセスを担当したのは、人事本部の土橋直子さん。
「実感がわかない!」「何が良かったんだろう?」という社内の声を受け、今回は認定の評価ポイントやプロセス、土橋さんの思いを伺うべく、ご本人へ取材をしました。
毎月の社員アンケートで見えてきた、社内のエンゲージメントと働きがい
ーー働きがいのある会社認定、おめでとうございます!私も嬉しいです。
ありがとうございます〜!!
Great Place to Work®の認定は、世界約100ヵ国で実施されているのですが、ランスタッドジャパンとしては今回が初のエントリーでした。
ランスタッドのグローバルでもエントリーや認定を受けている拠点は複数あるのですが、インドでは3年掛けてようやく取得したという話を聞いていたので、初回から認定を取得するのは正直無理かもと思っていた部分もありました。
でも、CEOのポールさんをはじめ、全社員の皆さんの思いがあったからこそ、初回から認定を取得することができたのだと思っています。
ーー今回どんな経緯で認定審査へエントリーすることを決めたのでしょうか?
経営層が変わったことで、社内コミュニケーションに注力をはじめ、社員が経営層をより身近に感じられるようになり、経営層からビジネス方針について直接聞いたり質問できるようになったこと、ED&I (エクイティ・ダイバーシティ、インクルージョン)への取り組み、そしてその結果が見えてきたことなどがエントリーの決め手になりました。
毎月、人事本部では社内エンゲージメントを図るアンケート回答を社員の皆さんへ依頼しているのですが、そのスコアが昨対比で少しずつ上昇しているというデータが出たんです。
スコア上昇のタイミングで起こったことを洗い出してみると、ちょうど社内コミュニケーションの見直しが始まり、全社員ミーティングなどの様々な施策を始めたことで、社員がモチベートされてエンゲージメントが高まっているのではないかと考えられました。
ーー私のところにも毎月アンケートが届きますが、そんな風にデータを見ていたのですね!
そうなんです。その結果から、社内全体の雰囲気が良くなってきていることや風通しの良さを感じて、マネジメントが交代してから1年の節目で、認定取得へチャレンジしてみることにしました。
ーー初歩的な質問で恐縮なのですが、この認定ってどんな認定なのでしょうか?
その会社の「働きがい」を可視化する認定で、大きくは「働きやすさ」と「やりがい」の2つの軸があります。「働きがいのある会社」は企業業績も高い傾向があり、ただ社員が居心地が良いだけでなく、きちんと結果にも繋がる認定だと言えます。
認定を受けるためには、従業員アンケートの結果に加えて、「働きがいのある会社」としての会社の取り組みを調査・評価されたり、自社がなぜ働きがいがある会社なのか?という資料を提出したりと様々な側面からの審査があります。
実は、人事部にいると、Great Place to Work®の働きがいのある会社認定って、非常に権威がある認定なんです。
日本には他にも多くの認定がありますが、世界規模の調査としてはとても有名ですね。どの国でも通じるものなので、色んな国の会社がこれを取得しようと頑張っています。
ーーそうなんですね。色んなランキングや認定があることは存じていましたが、今回の認定がそこまですごいものだったとは‥‥不勉強で申し訳ございません(笑)
いえいえ、そう思われている方も社内に多いと思います(笑)
でも、すごい認定であることには変わりないので、せっかくなら「働きがいのある会社で働いている」「そういう会社を私たちが作っている」という気持ちをもっと社員の皆さんにも持ってもらいたいし、伝えていきたいなと思っています。
今あるものに目を向け、紐解いていく
ーー実際のところ、ランスタッドの働きがいって、どんなところが評価されたのでしょうか?
働きがいってね、実はもう今ここにあるんですよ。
だから、それを丁寧に紐解いていくだけで良いんです。
例えば、ランスタッドは「人」と密接にかかわるビジネスをしているので、コミュニケーションが上手な人が多いですね。良く社内で言われている「良い人が多い」というのは、普段から沢山の方と接している皆さんだからこそなのではないかと思っています。
同じ理由で、人材業界自体が良い人が多い面もあるとは思います。でも、その中でもランスタッドは発祥がオランダと栃木なので、ヨーロッパ的な家族や仲間を大切にしようというカルチャーや、日系の団結力や温かみがあるのではないかと思いますね。
社内公募などの制度もあるので、外資とは言いつつも、じっくりキャリアを構築できるような、外資と日系のハイブリットな良いカルチャーができているように感じます。
ーー私も転職組ですが、「外資=ドラスティック、怖い」という先入観が良い意味で崩れたなと思います。
それもありますね。私もランスタッドはマネジメント層が話しやすくて、風通しが良いなと感じました。
一般社員がマネジメント層と話すなんてあり得ない!という会社もある中で、フラットにディスカッションができるのは、すごいことだなと思います。
ーー他にも、評価されたポイントはありますか?
実は、各指標のスコアをもらっていて、その中で特に秀でていたランスタッドの強みは、ダイバーシティとリーダーシップのコミュニケーション、ワークライフバランスの3点でした。
ダイバーシティについては、LGBTQや障がい者を含む様々なバックグラウンドを持つ社員が活躍できる環境を作るED&Iの取り組みはもちろん、一人ひとりの多様性をお互いに理解し認め合うことによって、みんなが自分らしくいられるカルチャーが評価されたのだと思います。
リーダーシップのコミュニケーションについては、やはりまずはトップからカルチャーを積極的に発信していく姿勢を見せることや、実際に相談しやすいリーダーであることで、マネジメント層が社員に関心を持っていることが社内に伝わった結果だと思います。
そして、ワークライフバランスに関しても、社員が自分らしく輝くための制度が充実していますよね。例えばコアタイムなしのスーパーフレックス制度やテレワーク制度が導入されていたり、有休の取得が奨励されていたりすることで、社員が仕事で最大のパフォーマンスを発揮できるだけでなく、自分の人生も充実したものにできるような配慮がされています。
ーー確かに、自主性を認めてくれるカルチャーがあるので、やってみたいことに手を挙げたらチャレンジさせてもらえるなど、自分らしくいられる会社だなと感じています。
そうなんです!社員の皆さんの熱量が高いことも魅力的なポイントだと思います。
ランスタッドって、会社主導のプロジェクトだけでなく、社員が自主的に会社を良くするために進めていくことが沢山あると思います。中学校キャリア教育とか、ERG(Employee Resource Group)コミュニティ、LOVU(ラブユー)プロジェクト(Lead Our Valuable Ultimate goalの頭文字で、ランスタッドの最終的なゴールに向かって成長を促進させようという取り組み)とか、noteもそうですよね。
「会社を良くしていこう!」という思いを、社員の皆さんも持っていることが伝わってくるので、そういった一つひとつの取り組みが「働きがい」に繋がっているのだと思います。
そして、こういったポイントは、認定があったから始まった取り組みなわけではなくて、元々ランスタッドがやっていたことなんです。だからこそ、「そういう素敵なカルチャーを、私たち一人ひとりが作っているんだよ!」という気持ちを、もっと社員の皆さんにも持ってもらいたいし、伝えていきたいです。
ーーお互いを認め合うという元々ランスタッドが持っているカルチャーの中で、それぞれが安心・安全に自分の力を発揮したり、チャレンジしたりできる環境だからこそのポジティブな循環がランスタッドの「働きがい」になっているのですね。良くわかりました!
エンプロイヤーブランディングの最前線で試行錯誤するやりがい
ーー今回は認定審査エントリーのプロセスをご担当されていましたが、普段どんなお仕事をされているのですか?
大きな役割としては、「エンプロイヤーブランディング(= 勤務先としての魅力をあげること)」を担当しています。
その中でも2軸があって、1つは中長期的に、働く先として魅力のある会社というブランドを作っていくこと。もう1つは、もう少し短期的な採用マーケティングに貢献することです。
ーー土橋さんご自身は、どんな時に「仕事のやりがいや働きがい」を感じますか?
そうですね。今の自分のミッションと重なりますが、ランスタッドの良さを伝えていくことにはすごくやりがいを感じています。
エンプロイヤーブランディングは、勤務先としての魅力があれば、優秀な働き手が集まり、その結果として企業の成長に繋がるという考えに基づいています。この考え方は、日本でも少しずつ注目されていますが、他の国ではより重視されているんです。
私は入社前から、エンプロイヤーブランディングの調査やアワードを実施している企業としてランスタッドを知っていたので、ランスタッドで今の仕事をしていることにも意義を感じています。
そして、ランスタッドのエンプロイヤーブランディングをもっと良くしていった先に、自分自身の次のステップも見えてくるのではないかなと思っています。
ーーちなみに、仕事以外の面での楽しみはありますか?
日々の楽しみは、子育てですかね。3歳の男の子がいるので、子どもの成長をみていると感動しますし、自分自身にも刺激があって面白いです。子どもって本当に純粋なんですよ。
仕事と子育てがそれぞれのリフレッシュにもなっていて、子どもから気づきを得ることも多いので、これからも良いバランスを続けていきたいなと思います。
今ここにあるものをシンプルに捉えるために、自分自身を受け入れる
ーーお子さんがいらっしゃる方だと、仕事とプライベートのバランスを上手く保つことって結構難しいのかなと感じているのですが、土橋さんが日々良いバランスで過ごせていることには、何か秘訣がありますか?
そうですね‥‥。最近、私自身も「赤ちゃんの目で見て、感じること」を意識するようになりました。
頭で考えるのではなく、身体で感じる。物事をジャッジせずに受け入れることや、今ここにあるありのままの自分に素直でいることって心地良いなと思っています。
ーー素敵な考え方ですね!
でも一方で、社会人として働いたり、お子さんを育てるお母さん・お父さんという立場になったりすると、ありのままの自分では許されないような瞬間も出てくると思うのですが、そんな時はどう折り合いをつけると良いのでしょうか?
どんな立場であっても、まずは自分自身を受け入れることが大事だと思っています。誰かに何かを言われたり思われたりすることはありますが、最終的に自分が自分の気持ちや思いを受け入れてあげないで、誰が受け入れてくれるの?ということにきちんと向き合うことでしょうか‥‥。
自分のことって、みんなすごく批判していませんか?
なんで出来ないんだろう、どうしてこうなっちゃったんだろうって。
でもまずは、できない自分や自分を責めてしまう自分を認めることから始めると良いと思います。
ーーなるほど‥‥。土橋さんは、元々ご自身を認めることができていたタイプですか?
全然できてないです!(笑)それどころか、自己否定が強いタイプなんですよ。
未来のことや過去のことを考えてすぐ不安になったり、落ち込んだり、自分を責めたりしていました。でも、自分で自分を責め続けるって辛いじゃないですか。だから、まず一歩下がって、自分がどういう傾向があるのかを知ることから始めました。
それだけでも結構違うんです。「自己否定している自分がいる」と一歩引いて知るだけでも、「客観的に自分の状態を認識している」ので、今までの視点とは違うステージにいるんですよ。
ーー視点の切り替えって、最初はすごく難しいように思うのですが、やっぱり練習でしかないのでしょうか?
これはもう、練習あるのみですね。
だからこそ、日々を過ごす中で気持ちが動いたことがあれば、些細なことでもきちんと気に留めることが大事だと思います。「今ここ」にある自分の感情や思いに目を向けるためにも、「赤ちゃんの目で見て、感じること」を意識するのは良い練習なんです。
私たちって、何かを繰り返しやっていると慣れてしまうものだと思います。
でも、本当は当たり前なことなんて無いんです。初心の気持ちを思い出して、純粋な目で見ると、自分のことや家庭のこと、会社のことがシンプルに見えてくるなと感じています。
私自身、人との関わりを通じて自分が成長することが多いなと思います。
家族や友人、会社の仲間と関わることで、それぞれの価値観や考え方を知ることができるので、自分の視点を切り替えることにも役立ちます。人と繋がることは私にとって喜びなんです。
今後も、仕事やプライベートで沢山の人と繋がっていけたら良いなと思っています。
ーー働きがいのある会社認定の裏話から、今ここにあるものに目を向けるための秘訣など、心に沁みる深いお話しを沢山ありがとうございました!